函館市は、市内での漁業就業を希望する人に短期の漁業体験の機会を提供する市漁業就業体験事業に関し、今年度の参加者を募集している。2024年度に新たに始めた事業だが、初年度は2度の募集で体験者はいなかった。養殖コンブの水揚げ最盛期にあたる6月上旬~8月上旬のうち最長2週間、実際の漁業作業を体験し、漁業就業へのきっかけづくりにする。募集は7月4日まで。
体験は、参加者が7日以上14日以内で好きな期間を設定でき、市内5漁協で受け入れ可能。座学や現場研修(漁船に乗船し養殖コンブの水揚げや、陸上でコンブを干す作業)を行うもので、参加無料。ただし、期間中の飲食代は自己負担。交通費、宿泊代を市が負担する。宿泊は市内の宿泊施設を利用し、報酬は支給しない。募集は1人を想定するが、予算の範囲内で受け入れ人数を増やす可能性も。転職でのIJUターンを見込み、三親等以内に漁協組合員がいない人、男女問わず満18歳以上で、市内在住者も応募できる。
昨年6~7月に1回目、同11月~今年2月に2回目の募集を行い、市水産課によると、女性を含め複数の問い合わせがあったが、長期休暇が取れないことや、体験内容がイメージと違ったことなどからマッチングには至らなかったという。
市は、市ホームページやSNSでの周知をはじめ、首都圏での移住相談窓口にチラシを置くなどして情報発信を強化する。
市が23年3月公表した漁業就業実態調査によると、市内5漁協の組合員数(1703人)が10年後に約半数の884人まで減少することが判明。深刻な事態を打開するため、市漁業就業者確保対策等検討会議で検討を重ね、担い手対策の一つとして、短期での就業体験の実施を決めた。
市内での漁業の深刻な担い手不足に対応し、参加者に仕事内容ややりがいを伝えるとともに、市内漁家での生活を体験し漁業の実態を知ることで、漁業への適性を確認・判断し、新規の就業者確保につなげる。
同課は「24年度は募集を始めるのが遅かったが、今年度は募集期間を3カ月と長期間取ったので、転職やIJUターンでコンブ漁師を志す人はぜひ相談してほしい」と呼び掛ける。
問い合わせは、同課(0138・21・3335)へ。(山崎大和)