函館市は、人口減少や高齢化が進み問題となっている市内の空き家対策にあたり、所有者の意向に関する調査報告書をまとめた。調査結果では空き家の活用について困っていることとし、「解体費用が無い」と答えた割合が36・9%、「賃貸・売却の相手が見つからない」が35・8%、「どうすれば良いかわからない」が23・4%、「相談先がわからない」が13・5%などの回答だった。市は相談窓口や工事費用を補助する制度の周知に力を入れる。
空き家の所有者は建物の倒壊など周辺の生活環境に悪影響を与えないよう、適切に管理する責任がある。調査報告は2018年度以来で、26年4月に策定を予定する第3期市空き家等対策計画の基礎資料とするため、24年7月に実施。外環状線(産業道路)の内側の区域を対象に、空き家であると判断する1768棟の所有者に対しアンケート形式で行った。
現在空き家を実際に管理している人は誰かという問いには、「所有者本人」が48・0%、「所有者の家族・親族」が26・4%と割合が高かったものの「誰も管理していない」が14・4%あった。また、空き家の状態や困っていることについて、「現状を把握していない」「仕事などで考える時間がない」といった声が1割程度を占め、当事者意識の低い所有者などが一定数いることが分かった。
このほか、市が倒壊の恐れのある危険な空き家の除却工事費用の一部を上限30万円で補助する制度に関し、「知らない」と答えた割合が87・2%だった。補助金の申請は22年度が14件、23年度が15件、24年度(2月末時点)が15件となっており、解体費用にかかる資金不足を理由に空き家のまま放置されている件数が多いと推察する。
市都市整備課は、市役所本庁舎3階で誰もが利用できる空き家対策に関する相談窓口を設けている。同課は「当事者意識の希薄化や、相談窓口の周知不足がアンケートで分かった。推進につながる取り組みを検討したい」としている。(竹田 亘)