函館市熱帯植物園(湯川町3、鈴木一郎園長)の入園者が増加し、今年度は20万人を突破する見通しだ。同園によると20万人を突破すれば1976(昭和51)年度以来といい、コロナ禍が明けてインバウンド(外国人観光客)が戻ったことに加え、湯の川地区のホテル・旅館の活性化との相乗効果が出たとみている。
同園は1970(昭和45)年に開館。名物のサル山のほか、温室内には約300種、3000本の熱帯植物が植えられている。2003年度からNPO法人函館エコロジークラブ(福西秀和理事長)が管理運営を委託し、07年度から指定管理者となっている。
市のまとめによると、入園客は2019年度に約14万6000人を数え、20、21年度は新型コロナウイルス禍の影響で10万人を割り込んだが22年度に14万1000人に回復。コロナの感染症法上の位置づけが5類となった23年度には17万8600人を記録していた。今年度は毎月、23年度を5~10%上回るペースで推移しており、1月は「植物園が始まって以来最高」という3万2000人を見込むほか、2月はさっぽろ雪まつりを見物した後の来客増が予想される。
同園では8年ほど前から国内外の旅行会社へのPRを強めるとともに、サル山などの紹介映像を米国や中国、タイのテレビ局に提供。旅客機の機内案内にも紹介文が盛り込まれるなどの広報戦略が浸透したほか、園の周辺では数年前からホテルの新設やリニューアルが相次ぎ、「各施設から見渡せる立地が好調の一因」(鈴木園長)とする。
政府が中国人観光客向けのビザの発給要件などを緩和する方針を示したことで今後も利用客増加傾向が続く見通しだが、一方では職員の人員不足や、園内のルールを守らない外国人客への対応など課題も散見される。鈴木園長は職員確保や温室内の展示の充実といった対策を進める方針で、「毎年平均して20万人を超えるように運営していきたい」と話している。(千葉卓陽)