函館市は、短時間勤務や出勤日数など労働条件が自分に合った働き方を希望する人と、採用活動を行う企業を結び付ける事業を展開し、成果を上げている。潜在的労働力を掘り起こすのが狙いで、主婦やパート・アルバイトを考える人、高齢者が参加しやすい企業説明会を開き、市内の人手不足解消の一助になっている。
2021年度から実施する「女性・高齢者の多様な働き方促進支援事業」の一環。子育て世代の主婦のほか、仕事を始めたいがブランクのある人、定年退職後にまた働きたい人、経験や強みが生かせる高齢者などを対象とし、今年度は14日、市亀田交流プラザで「お仕事説明会」を開催した。コンビニエンスストアやビル管理会社など、多彩な業種の市内12社がブースを構え、約40人が来場。子ども連れの来場者向けには縁日コーナーを設けたり、菓子をプレゼントしたりと訪れやすい工夫を凝らした。
6歳の娘と訪れた函館市柏木町の主婦、小甲奈々さん(32)は4社から話を聞いた。1日4~5時間の条件で働くことができる職場が望ましいといい、「子どもを連れて来て良いと知り、説明会に来ることができた。託児があることが大きな要因だった」と話す。会場内には企業ブース以外にも、ビジネスマナーや履歴書の書き方講座、社会保険制度、健康相談などを受け付けるコーナーも設け、仕事を始める上でサポートする体制を手厚くした。
また、市の23年度労務状況調査(市内638事業所が回答)によると、正社員1万8933人のうち、60歳以上は1786人(9・4%)、パート従業員7304人のうち、60歳以上は2563人(35・1%)と、パートに占める高齢者の割合が高い。市雇用労政課によると、同事業で就職につながった人数は21年度が12人、22年度が22人、23年度が36人。
同課は「フルタイムでは働けないが、短時間の条件などで働きたい主婦や、社会とつながりを持っていたいと考えるシニア世代が、いずれも多数いる。その思いを支援して企業とのマッチングにつなげていきたい」としている。(竹田 亘)