青森県大間町で大間原発を建設中の電源開発(Jパワー、渡部肇史社長)は9日、今年11月に開始するとしていた安全強化対策工事の開始時期を2年先送りし、2018年後半の開始、23年後半の完了とする新たな見通しを発表した。原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査終了までにさらに2年程度かかると見込んだためで、同社は同日、説明のために大間町などを訪問した。
楠瀬昌作大間現地本部長が大間町と隣接する風間浦村、佐井村の各議会などに説明。同県庁、道庁にも関係者が訪れた。同社と国に対し建設差し止めを訴えている函館市は従来通り、建設推進を前提とした説明は応じないとして訪問を受けず、同社からは電子メールを送信したと連絡があった。
同社は14年12月に規制委に原子炉設置変更許可申請書を提出。当時は1年程度での審査終了を見立て、対策工事完了後の21年度に試運転、営業運転を目指す考えを示した。昨年9月には、審査終了までさらに1年程度が必要と発表。今回が申請後2度目の延期で、対策工事の終了見込みを23年後半として運転開始時期は未定としたが、24年以降となる状況だ。
同社広報は延期について「他の原発の審査状況から、規制委への申請時点から4年程度必要になると判断している。運転開始時期については当初から未定としている」と説明。「これまで下北半島西部での地質調査を進めてきた。結果の説明を含めて、より丁寧な対応が必要だと考えている」とした。
市総務部の井本剛志防災担当課長は「(新規制基準の審査は)Jパワーと規制委の間でのこと。建設差し止めを求めて係争中であり、コメントする立場にはない。10月の次回口頭弁論に向けて、準備を進めていくだけ」と話している。(今井正一)