函館市企業局交通部は29日に迎える路面電車の開業110周年に向けて、記念のロゴを作成した。人気車両の箱館ハイカラ號、530号車をデザイン。29日の記念日は箱館ハイカラ號を特別運行する。
「110th Anniversary」の文字を入れたロゴは来年6月下旬までの1年間を周年記念期間として活用。2系統にハイカラ號、5系統に530号車をデザインした系統板も制作し、710形車両などに掲出。系統板を使用しない車両にはロゴのパネルを置く。
ハイカラ號の特別運行では乗車先着100人に寺田時計店(堀川町)店主の寺田昭吉さん(81)が撮影した写真を使用したポストカードを配布する。寺田さんはハイカラ號に思い入れがあり、長年写真を撮り続けてきた。週末のみと運行機会が減った現在もダイヤに合わせてカメラを構えるが、併走する車が重なったり、タイミングが合わないことも多い。
ハイカラ號の写真はポストカードやカレンダー、懐中時計の文字盤にしたりと、函館観光の一助になればとPRしてきた。寺田さんは「ハイカラ號を見た観光客は『かわいい電車だね』と声が出る。観光客がいっぱい来て乗ってもらいたいね」と話す。
特別運行は土日祝日の通常ダイヤと同じで、午前9時57分に駒場車庫前を出発し、函館どつく前や谷地頭との間を3往復する。雨天時運休。
道内初の路面電車の函館市電は1897(明治30)年運行開始の馬車鉄道が前身。電力会社の函館水電が1913(大正2)年6月29日に東雲町・湯の川間を電化して開業した。戦時中の43(昭和18)年に市営となった。(今井正一)