昨年12月、店舗が車に突っ込まれる被害を受けて臨時休業中だった北大水産学部向かいの持ち帰りすし店「小判寿司」(函館市港町3)が20日、営業を再開する。店主の佐藤政人さん(86)は「火曜は本来、定休日だが、再開を待ち望むお客さんのためにも『一日でも早く』と開店を決めた」と意欲満々だ。
佐藤さんは大手電機メーカーの元従業員。1980年、妻の春子さん、長男と長女を伴って函館に帰郷した際、当時は珍しかったテークアウト専門のすし店という業態に目をつけ、港町に店を開いた。以来、安さとおいしさで評判となり、市民や北大生に親しまれている。函館に住んでいた人が札幌から来店したり、北大卒業生が道外から訪れたりすることもあるという。
佐藤さんによると、事故は昨年12月6日の開店前に発生した。北大横の市道から左折しようとして曲がりきれなかった車が突っ込んだという。佐藤さんは「交番から連絡を受け、店に来たら店先に車が突っ込んでいて、何もかもがぐちゃぐちゃ」と当時を振り返り、「書き入れ時の年末を前に、いっぱいだった予約を断らざるを得なくなった。『どうしてこんな目に』と落ち込んだが、40年続けたすしの握り方は体に染みこんでいる。廃業は考えなかった」と話す。
店の再開は決めていたものの、加害者側との交渉に時間がかかり、工事費のめどはなかなか立たなかった。弟の秀人さん(77)が加害者側と保険会社とのやりとりを代行し、保険金で壊れた店を直すことができたという。佐藤さんは「この年齢だから、突然の災難はこたえた。きょうだいはいいものです」と弟の尽力に感謝するとともに、「妻がいなければ今の私はない。彼女が信じてついてきてくれたおかげで、今回の苦難も乗り越えられた」と傍らの春子さんをねぎらった。
同店メニューは「ランチずし」握り10カン500円など。午前10時から午後7時ごろまで営業、定休日は火曜(20日は開店)。問い合わせ、注文は同店(0138・43・9573)へ。