市立函館博物館郷土資料館(末広町、旧金森洋物店)は、函館四天王として知られる初代渡辺熊四郎(1840~1907年)を主人公とした創作紙芝居「初代わたなべ熊四郎物語」を製作した。今年が熊四郎生誕180周年、洋物店の開店140周年となることに合わせ企画。熊四郎の幼少期から函館に根を下ろし、商いを広げる決意を固める場面までを描いた。
同館の指定管理者、水引アート工房清雅舎の事業。絵は七飯町在住のイラストレーター奥村茂樹さんが担当、ストーリーは、熊四郎の自伝を基に同館のスタッフが函館絵本の会「銀のふね」の柄澤昌子さんのアドバイスを受けながら考案し、表紙を含め13枚にまとめた。7日に同館で関係者向けのお披露目があり、佐藤晴恵さんの三味線演奏に合わせ、今泉香織館長が読み上げた。
物語は、九州・豊後国(大分県竹田市)に生まれた熊四郎の幼少期に始まる。丁稚奉公に入った薬屋で勉強を重ねたことや、長崎に入った箱館奉行所の洋式帆船「箱館丸」に乗って蝦夷地へと渡ったこと、箱館戦争を経て、新たな時代の到来を感じる場面などがある。奥村さんは「熊四郎は眉がきりっとして、意地の強さがあるような人として描いた」と話す。大分の内陸部で育った熊四郎が海を渡る対比なども意識したという。
今泉館長は「この時代に九州から渡ってきたことはすごいこと。子どもたちにも歴史に興味を持ってもらえたら」と話している。
上演時間は10分程度、子ども向けに内容を分かりやすくした「ハイカラくん」バージョンも用意した。
8月は10~12、15、16、29、30日のそれぞれ午前10時半、午後1時半から上演する。入館料別。問い合わせは同館(0138・23・3095)へ。(今井正一)