市立函館博物館は、収蔵資料の画像データをホームページ上で公開する「デジタルアーカイブ」をリニューアルした。考古、美術工芸など7分類100件の資料を公開。画像の拡大閲覧や検索などの機能を強化した。公開資料数を順次増やし、資料の活用促進につなげたい考えだ。
2014年度から取り組むデジタルアーカイブ事業は、公立はこだて未来大学への研究委託事業として実施。これまでも写真や資料名など一部を公開していたが、閲覧や検索機能を強化した。
資料は蠣崎波響らの絵やライオンのはく製など多彩で、分類別の表示のほか、能登川隆収集の考古資料「能登川コレクション」、菅原繁蔵による植物標本「菅原コレクション」といったコレクションごとに切り替えることができ、パソコン上で全画面表示をしたり、拡大表示で細部の確認したりできる。
また、今年の干支(えと)のイノシシをかたどった「動物土偶」(縄文晩期、日ノ浜遺跡出土)=21日まで同館で公開=、中国・清朝間とアイヌ民族を含む北方諸民族との交易品としてもたらされた「蝦夷錦」(山丹服)=北方民族資料館で常設展示=など、市内で実物を見ることができる資料もある。
一方、博物館の収蔵資料は18年3月末現在、4万2420件、67万8400点(うち57万5900点が考古資料)を数える。デジタルデータ化して、公開できそうな資料に絞っても数万点はあるという。
今後は未来大と協議し、年間数百点の資料追加を目指す考え。奥野進主査は「実際に館内で展示できる資料数には限りがあるが目に触れる機会を増やすことで函館博物館に資料があるという発信にもなる。企画展と連動させるなど、足を運んでもらえる取り組みも進めたい」としている。(今井正一)