8月に入り渡島地域では、極端な日照不足や気温の低い状態が続いている。天候不順の影響は農業や観光、消費活動などにもじわじわと広がりはじめている。観光関係者らは夏らしい日差しが戻ってくることを切実に願っている。(山崎純一、小川俊之、田中陽介、稲船優香)
8~14日の日照時間ゼロ 函館
函館地方気象台によると、オホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響などにより、函館の7~16日の平均気温は、平年より3・2度低い19・0度で9月中旬並み。同期間の日照時間は平年のわずか4%の1・9時間で、8~14日の日照時間はゼロだった。
トマト色づかず 野菜値上げに懸念
函館市東山で農業を営む岡田光春さん(68)はさまざまな種類の野菜を育てているが「真夏にこれほど長期に天候不順が続くのは記憶にない」と頭を抱える。特に影響が大きいのはトマトで「赤い色が全然付かない。トウモロコシの実入りも悪い。このままでは野菜全般の値段が上がるのでは」と話す。
ビアガーデン「気温上がって」
ホテルテトラ(函館市柳川町)の屋上ビアガーデンは今年5月から、屋外席のうち、30~40人が座ることのできる一部に屋根を設置。この取り組みが奏功し、8月に入ってからの雨天のキャンセル分をカバーし、例年並みの来場者をキープしている。小雨が降った17日夜も、屋内と屋根付きの屋外で約100人がビールとジンギスカンを堪能。同社は「やはり気温が上がった中で、ビールを味わってほしい」としている。
ソフトクリーム売り上げ3割減
函館酪農公社の直売所「函館牛乳 あいす118」(函館市中野町)は、新鮮な牛乳から作ったソフトクリームが評判の人気観光スポット。例年この時期は、涼を求めソフトクリームが飛ぶように売れるが、渡辺隼人店長によると「8月に入ってからの売り上げは、昨年に比べ3割近く落ちている。その替わりにコロッケやチーズなどを買い求める人が増えた」と天候の影響を実感する。
入り込みは昨年比1万人減 乙部・元和台
乙部町の元和台海浜公園「海のプール」の今季の入り込み客は、7月22日から8月17日までで1万8896人。昨シーズンは2万9253人と3万人に迫る勢いだったが、今年は20日の営業終了までに2万人に届かず、この10年で最低となりそう。管理する町は「一番の入り込み時期の8月上旬に台風5号が本州から道南に向けて極度に遅い動きで移動していたことが打撃だった。また函館からの家族連れが天候不順を理由に遠出を控えたのも影響している」と分析する。
25日ごろまで低温傾向
札幌管区気象台が17日に発表した向こう1カ月の道内の天候の見通しによると、太平洋側は日照時間が少なく、平均気温は25日ごろまでは低く、その後は高めに推移する見込み。