国禁を犯して函館から海外脱出を決行した新島襄(1843~1890年)=同志社大創立者=の場面を再現した寸劇「新島襄と仲間たち」が9日、函館市大町の海外渡航の地碑前であった。函館水産高校(野呂俊夫校長)の生徒有志らが「外へ、世界へ出て行こうとする志」を熱演した。
海の日(17日)を記念し、函館のまちおこしグループ「笑福七福神祭実行委員会」(井上清美委員長)が主催し、今年で11回目。
出演したのは水産高3年の加賀紫織さん(18)、1年の成田幸美さん(15)、2年の伊藤美那さん(16)、卒業生の横澤佳亮さん(23)、水戸隆太さん(22)、北大水産学部4年の中尾眞子さん(21)。例年配役の人数が足りず、同校教員も応援出演していたが、今年は積極的に生徒が集まった。
別れの杯、逃避行、再会の3幕。襄と妻の八重が北海道を訪れた再会のシーンでは、水産学部の第46代応援団長を務める中尾さんが碑にも刻まれている漢詩で「千里の志」と呼ばれる「男児、志を決して千里を馳す…」を声高らかに朗詠、迫力満点の演技に大きな拍手を浴びた。
八重役を演じた伊藤さんは「昔のことを知る良い機会になった」、脱国する襄役の成田さんは「緊張したが、あまり知られていない歴史を観客に伝えられた」と笑顔を見せた。
寸劇後は、函館漁港で七福神に扮(ふん)した生徒らが木造和船「七福神丸」に乗船し港内を巡航。
2003年から続けている恒例行事で、約500個の餅をまいて海上安全と大漁を祈願した。(山崎大和)