函館市の平均寿命(0歳児の平均余命)が男性77・5歳、女性85・3歳とともに全国下位であることが分かった。2010年の国勢調査に基づき国が公表している市区町村別の平均寿命で、全国1750市区町村中、男性が1694位、女性が1652位と下位に低迷。市は健康づくり計画「健康はこだて21」(第2次)=13~22年度=をもとに低い現状の改善を目指す。
市によると、15年の国勢調査分はまだ公表されていないが、市の平均寿命が下位に甘んじている現状は変わっていないとみられる。
複合的な要因が考えられる中、がん死亡率が全道、全国より高いことが挙げられる。03~12年の10年間を対象にした統計では、全国平均を100とした場合の市の標準化死亡比(SMR)は、大腸がんが135・4、胃がんが106・1、肺がんが119・9、乳がんが110・7、子宮がんが111・7といずれも100を超える。全道のSMRは大腸がんが108・4、胃がんが94、肺がんが115・6、乳がんが105・4、子宮がんが99・5で、3つが全国平均を上回る。
女性の喫煙率も全道、全国に比べ高い。11年に実施した市民アンケートでは、市の女性喫煙率は13・0%だった。10年の国民健康・栄養調査での女性の喫煙率(全国平均8・4%)より4・6ポイント高くなっている。
市はこうした現状を受け、特に自覚症状もなく、健康に日常を過ごしている人を対象にした、がん検診を受けることを薦める。がんを早期に発見でき、さらに治療を行うことで死亡率が低下することが証明されているからだ。
たばこに関しては、喫煙と受動喫煙による健康への悪影響を認識してもらう取り組みに力を入れる。たばこを吸わない人が他人のたばこの煙を吸って肺がんリスクが高くなることから、出前講座などでマナー啓発を推進している。
市健康増進課は「平均寿命を延ばすには、市民一人一人が健康に対する意識を高める必要がある。(平均寿命から介護年数を引いた)健康寿命の延伸も重要」としている。(山崎大和)