函館市文化・スポーツ振興財団は13日、函館市芸術ホール(遠山孝一館長)で「避難訓練コンサート」を開いた。公演中に建物内で火災が発生したとの想定で、職員が約200人の観客を屋外に誘導するなど有事の対応を確認した。
年に2回、職員で避難訓練を行い、観客も参加した訓練は2015年、22年に続き3回目。石丸典子さん(メゾ・ソプラノ)、市川須磨子さん(マリンバ)、久保悦子さん(ピアノ)の3人が演奏中、地下での火災発生を告げるサイレンが鳴り訓練を開始した。
職員がステージから「避難することもあるので準備を」と観客を落ち着かせ、避難が必要と判断されると、4つある出入り口などに誘導し、屋外へ避難した。階段や狭い通路ではゆっくり動くなど、安全を確保。屋外では「同行者はいますか」と声掛けして確認した。
遠山館長は「ホールでは近くの出入り口を確認し、災害が発生したら職員の指示に従ってほしい」、市消防本部の職員が「転倒などの恐れがあり落ち着いて行動してほしい。消火器の使い方も確認を」と注意を呼び掛け、訓練を終了した。
再び始まった演奏では、3人が夏を感じさせるメドレーやミュージカルの名曲を披露した。夫婦で参加した五稜郭町の男性は「誘導が良く素早く動くことができた。いざという時にも同じように避難できれば」と話した。遠山館長は「職員の危機管理能力を高め、来場者が安心して鑑賞できる施設としたい」と気持ちを新たにした。(山崎純一)