函館市住宅都市施設公社は12日、今年度の「“函館山”盗掘・切り取り防止キャンペーン」を開始した。登山者にチラシを配るなどし、自然の宝庫と言われる函館山の貴重な自然環境の保全、回復を呼び掛ける。14日まで。
函館山は明治後期から要塞が作られ、市民の立ち入りが禁じられたことで良好な自然環境が保たれており、市都市公園条例で植物の盗掘や切り取りを禁止している。同公社によると約600種の植物が育つ中、ユリが開花するこの時期は、切り取りなどの被害が多く発生するという。
キャンペーンは2020年度に開始。期間以外でも同公社職員や函館山自然観察ボランティアのスタッフが巡回しているが、盗掘は21年度4種7株、22年度4種6株、23年度は3種4株を確認。切り取りは21年度8種11株以上、22年度8種67株以上、23年度8種87株と急増。今年度は4日現在、盗掘1件のみ。同公社公園管理部西部公園事務所の山口涼子さん(45)は「花を楽しみにしていた登山者から被害の報告を聞くと残念に思う」と話す。
初日は登山口駐車場などで盗掘防止や、被害の情報提供を呼び掛けた。禁止行為だけでなく、植物の踏み込み跡も目立ち植生が傷むことで登山者へのマナー順守も求めている。山口さんは「盗掘を埋め戻す行為もあり、市民だけでなく観光客を落胆させる行為が無くなるように努めたい」と話した。(山崎純一)