函館市の2015年度の生活保護費(扶助費)決算額は、前年度比3億5109万円減の212億4719万円で、2年連続の減少となった。人口1000人当たりの生活保護受給者を示す保護率は通年平均で同0・5ポイント減の47・0と、1995年以来20年ぶりに改善した。
8日の市議会予算決算特別委員会民生分科会(池亀睦子委員長)で、金澤浩幸氏(市政クラブ)の質問に市保健福祉部が答えた。
市の保護率は95年度の24・4から伸び続け、10年度には初めて決算額200億円を超えるなど、市財政の大きな課題となっている。
同部は20年ぶりの保護率改善について「少子高齢化や景気回復などいくつかの要因がある」と分析。また、就労支援プログラムの見直しなど改善に向けた取り組みに関して「個々の能力や生活実態を踏まえたきめ細やかな対応ができるようになってきた」と説明する。
不正受給対策にも力を入れており、13年度に専任の職員を2人配置したほか、14年度には市民から情報を受け付ける専用ダイヤル「生活保護適正化ホットライン」を開設。本年度の不正受給発覚件数は同83件増の289件で、金額は同5129万円増の1億1253万円と、ここ10年間で件数、金額ともに最多となった。
不正受給の内容は、稼働収入(働いて得た収入)の未申告・過少申告が160件、年金などの公的給付の未申告が53件と続いた。このほか資産の売却収入や事故保険金を申告しなかったケースもあったという。同部は「職員による収入調査の精度を上げたことや、不正受給対策の強化が数字に表れた」とみている。(金子真人)