函館西高校3年の片井風雅さん(17)が、8月上旬に市内で行われた水難救助員の検定に見事合格した。すでに活躍している兄の啓人さん(23)、姉の瑚乃葉さん(19)の背中を追いかけて同じ道を選んだ。3人は「大好きな海の安全を守るために頑張りたい」と意気込んでいる。函館市地区水上安全法赤十字奉仕団によると、きょうだい3人そろって資格を持つのは全国で初めてという。
風雅さんらが所属する同奉仕団は入舟町前浜海水浴場の安全を守ることが役目。59人で活動している。水難事故の未然防止とおぼれた人の救助や手当をするため、開設期間(今年は7月25日~8月20日)は監視活動に当たる。
啓人さんは高校時代まで函館で過ごし、現在は室蘭市の会社に勤務。休みを利用して地元に戻り、監視に加わる。瑚乃葉さんは美容師を目指して函館理容美容専門学校に通っている。2人はそれぞれ当時の最年少記録で水難救助員の資格を取得した経歴を持つ。
風雅さんが水難救助員を目指したのは、海で活躍する2人を間近で見ていたから。「兄と姉の姿に憧れ、自分もやってみたくなった」と話す。
風雅さんは2年前に資格取得に挑戦するはずだったが、コロナ禍で試験や講習が中止に。プールに通うなど自主練習を重ねて今年に備えてきた。「海での試験は難しかったが手応えはあった。合格の知らせを受け取った時はとてもうれしかった」と振り返る。そばで努力を見ていた瑚乃葉さんは「頑張っていたので自分のことのようにうれしい」と喜ぶ。
すでに活動している2人は真剣に海と海水浴客に目を光らせる一方で「岩場なので遊泳せずにカニを捕まえに来る家族連れが多い。そんな時は捕まえ方を教えるのが楽しい」と啓人さん。瑚乃葉さんも「晴れて波が穏やかな日は景色が最高」と入舟の海の魅力を語る。
17日は風雅さんが監視員としてデビューする予定だったが、波が高く、遊泳禁止になった。18日には学校が始まることから、初めての業務は来年までお預けになった。普段は公務員を目指して猛勉強中で、「社会に出てからもずっと続けていきたい」と意欲満々だ。
函館水泳少年団で3人を幼少期から指導した、同奉仕団の小山内稔委員長(85)は「時間をやりくりしながら、長く活動してもらいたい。若い人が少ないので、3人の活躍をきっかけとして活動に関心を持つ人が増えれば」と期待を寄せる。
きょうだい3人そろって資格を取得したのは全国初の快挙で、それぞれ自信になった。「海に遊びに来た人が楽しめるように頑張りたい」と声をそろえた。(松宮一郎)