3月末で閉校する函館稜北高校(田邊禎明校長)の36期生114人の卒業式が同1日に挙行される。新型コロナウイルス感染防止で校歌斉唱で声を出すことができないため、生徒や教職員、同窓生が校歌を唄う様子をまとめた動画を作成。38年の歴史をリモートによる稜北生の歌声で締めくくる。(飯尾遼太)
動画の作成は学校として最後の卒業式の思い出を残そうと生徒会役員が企画した。校歌はこれまで同校の学校祭「稜北祭」や各種式典などで全校で斉唱してきた。現3年生が入学した2018年度で募集停止となったことで年度を追うごとに学年が少なくなり、今年度は1学年のみに。生徒会の西村拓人会長は3学年がそろっていた1年生当時を思い出し「入学当初に全校で校歌を唄い、稜北生としての誇りを感じた。3学年で歌う機会もだんだん少なくなることを知っていたので、気持ちを込めて歌っていた」と振り返る。
動画は今月上旬から集め、在校生のほか、SNSを通じて同窓生にも募集を呼び掛けた。当日は校歌斉唱のタイミングで上映し、約40人による歌声で最後の卒業式に花を添える。3年の大川登也さん、吉山凌平さんは「卒業に加え、学校がなくなってしまうと思うとより寂しさがこみあげてくる。これまで支えてくれた人への感謝を胸に3年間の集大成として堂々と臨みたい」、西村会長は「稜北は最後までウィズコロナの新しい挑戦をしているというところを見せられたらうれしい。稜北生の思いがこもった動画になれば」と力を込める。
同校の田邊校長は「学校として最後の1年だったが、たくましい生徒のおかげで前向きに過ごすことができた。寂しさはぬぐえないが、生徒とともに卒業式当日を迎えたい」と話している。