ぬり絵遊びや運動などを通じ、児童の居場所づくりを進める函館市の「放課後子ども教室」は本年度、過去最多の11校で実施され、学年を超えた交流の場としても広く親しまれている。元教員や町会役員らが指導員として児童の活動を見守っており、担い手不足や高齢化が進む中、地域の協力が一層必要となっている。
事業は放課後に児童が安全に遊べる場所を設け、地域住民との触れ合いによる成長を目的に、2004年度に開始。小学校の空き教室や体育館を活用し、けん玉やコマなどの昔遊びや工作、ボールなどを使ったスポーツが主な活動だ。あさひなどでは道教育大函館校の学生が指導員を務め集団遊びを教えたり、昨年度始めたえさん、八幡では周辺町会館を活用して開設するなど、実施校によって特色がある。
9校で実施した昨年度は延べ1万958人が参加し、前年度比で1495人増加した。年間112回開いたあさひが4033人と最多。えさんは年間47回で、3番目に多い1297人が参加。市次世代育成課によると、指導員は地域寺院の檀家(だんか)や高校生らが担当しているといい、地域一丸で児童を見守っている。本年度は新設の亀尾と3年ぶりに再開した万年橋が加わり、11校となった。
16日には08年度から実施している本通小で、本年度1回目の教室が開かれた。町会役員や児童の親ら9人の指導員が担当し、1年生30人以上を含む計83人が、ランドセルを背負ったまま元気良く教室のドアを開いた。
指導員の紹介と「正しいあいさつと言葉づかいをする」「使った道具はきちんと片付ける」―などの約束事を確認した後、体育館と多目的教室に分かれて活動。体育館ではバドミントンやドッジボールなどが行われ、館内は大にぎわい。大縄跳びの回し役を指導員だけでなく上級生が担当したり、学年関係なく一緒に遊んだりする姿も見られた。多目的教室で過ごした1年生の佐藤仁菜さん(6)は「積み木やお手玉が楽しかった」と満足した様子だった。
同小の教室コーディネーターと指導を務める、元教員の吉田訓さん(71)は「児童の安全を保障し、学び、体験、交流、遊びを含んだ活動で健やかな成長を応援できるのが魅力。子どもから元気をもらうこともある」と笑顔。一方で指導員の高齢化や担い手不足が課題で「(指導員が)全員そろうのは難しい。子どもと関わることに興味がある人が多く参加してくれれば、より目が行き届き、活動メニューも豊富になるはず」と期待を寄せる。
教室の参加は無料。指導員は有償ボランティアで、学習指導の経験などは特に必要ない。問い合わせは市子ども未来部次世代育成課(☎0138・32・1527)へ。(蝦名達也)