米国プリンセス・クルーズ社の大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5906トン)が29日、函館港港町埠頭(ふとう)に寄港した。道教育大函館校の学生が船内で「折り紙」
を紹介する文化講座を初開催し、多くの乗客に喜ばれた。また、客船入港時に通訳ボランティアで語学研修に取り組んでいる遺愛女子中学高校の生徒らが船内を見学し、年末に予定されている海外研修に胸を膨らませた。
同大では、地域課題の解決に学生が主体的に取り組む「地域プロジェクト」を実施。今回はその一環で「クルーズ船で函館を訪れる外国人観光客に対する函館の魅力の発信と日本語支援」を進める国際協働グループの2年生12人が、外国人観光客にアンケートを行い、人気が高かった折り紙の文化講座を企画した。
学生は折り紙の歴史などをスライドを使って英語で説明。その上で「一緒にハートを折りましょう」と呼び掛けた。乗客は興味津々で駆け寄り、予想をはるかに超える50人以上が参加。学生が丁寧に折り方を教えて色鮮やかな作品を仕上げた。ツルや手裏剣、カエルなどが人気を集め、乗客たちは時間を忘れて折り続け、函館での思い出を増やしていた。参加した女性(69)は「懐かしくてついついたくさん折ってしまった」と笑顔だった。
同大の近藤紫乃さん(19)は「思っていた以上に関心を持ってもらいうれしかった。特別さより、身近な日本を感じたいと思っている人が多いと感じた」と話していた。今後も調査でニーズを把握しながら活動していくという。
一方、遺愛の生徒と保護者11組22人は年末に控える豪発着客船の語学研修に参加を考えている人たちで、細かく船内を見回り、今後に活かした。気になる食事について説明を受けたり、プール、交流スペース、シアターなど豪華な施設を巡ると、参加者からは「たくさんの国の人たちと触れ合えて有意義な旅になりそう」などの声が聞かれていた。
同高英語科2年の三春紅華さん(16)は「豪華な設備に圧倒された。たくさんの人とコミュニケーションを取るのが今から楽しみ」と話した。(小杉貴洋)