全国の調理師養成学校の学生が腕を競う「第31回調理技術コンクール」(全国調理師養成施設協会主催)が2月23、24の両日に東京で開かれ、清尚学院高校調理科3年の伊藤蓮人君(18)が西洋料理部門で大会会長賞に入賞した。伊藤君は「貴重な経験を糧に、就職先でも努力を続けたい」と誓っている。
同コンクールは〝調理の甲子園〟と呼ばれ、開催する年に卒業する学生が西洋料理、日本料理、中国料理の3部門で競い合う。
昨年11月に札幌で開かれた道地区大会には、校内選考を勝ち抜いた同校生徒2人が出場。西洋料理部門は3つの課題に取り組むが、中でもオムレツは微妙な火加減が出来栄えを左右することから、伊藤君は「卵は練習だけで1000個使った」と苦労を語る。
決勝大会には、高校生唯一の伊藤君を含む道内5人が進出。全国から集まった精鋭60人が指定された食材を使い、オリジナル2品を考案、調理に挑んだ。
「締め切り直前まで悩んだ」という伊藤君のメニューは、前菜「エビのラタトゥイユ 道産ゆり根とイクラ」と、主菜「キューブロール(リブロースの中心部分)のステーキ 2色のソースを添えて」。放課後や冬休み、所属する料理研究部で練習を重ね、当初の理想に近づいていく様子をテーマ「理想と現実」に込めた。
本番は初日の2時間で仕込み、2日目は調理と盛り付けを計1時間半で終える。「調理が時間ぎりぎりだったが、練習以上のものを出せた」と振り返る。
5日に卒業式を終え、この春からは函館市内の洋食レストランに就職する。「料理の基本はもちろん、調理師としての心構えも学べた3年間だった。いずれは自分の店を出すのが夢」と晴れやかな笑顔を見せる。(稲船優香)