今月末で56年の歴史に幕を閉じる函館短大付設調理製菓専門学校(函館市柏木町、山本仁志校長)は5日、最後の卒業式を函館国際ホテルで開いた。調理製菓総合科15人が母校での楽しい思い出と誇りを胸に、社会人の道へと羽ばたいた。同校の閉校で、道南で食の担い手を養成する専門学校はなくなる。
55回目の卒業式。山本校長が卒業生一人一人に卒業証書を手渡し、成績優秀者など8人に賞状と記念品を贈り、努力をたたえた。山本校長は式辞で「私は機会あるごとに『食を通じ社会に貢献する人材になってほしい』と言い続けてきた。皆さんは技術等級試験やフードサービス実習、生産地訪問を通じ、知識も技術も格段に向上した。『生涯学べ』を心に刻み、自分自身を磨き続けてください。豊かな人生を歩むことを祈ります」とエールを送った。
卒業式後、閉校式を開催。山本校長に続き、佐藤秀行渡島総合振興局長、盛田昌彦鹿部町長、木村史能函館国際ホテル総料理長があいさつした。卒業生代表の金沢七星さんが、学校法人野又学園の野又淳司理事長に校旗を返納した。野又理事長の乾杯の発声で懇親会に移り、約140人が同校の歴史や学校生活の思い出を振り返った。
4月から函館大沼プリンスホテル(七飯町)に就職する辻由里愛さん(20)=同町出身=は「地元の食材を生かし、道南を盛り上げられる立派な料理人になりたい」と決意を話した。
同校は、故野又貞夫氏を初代校長に1968年開校。調理、製菓のプロを育て、道南の食文化の発展に貢献。1年制を2年制に変更するなど、特色ある学校づくりを進めたが、少子化による入学生の減少で閉校を決めた。卒業生総計は6270人に上る。(山崎大和)