函館市教委は新年度、函館で活躍した歴史上の人物に焦点をあてた中学生向け資料を初めて作成する。端末から気軽に見ることができるデジタルデータとして完成させる。郷土の歴史や文化に誇りを持ち、地域の発展を支える人材の育成を図る考えだ。
資料の作成は市教委の藤井寿夫教育長の発案で、他の自治体から着想を得た。自分のまちづくりの歴史を知ることで、地域への愛着を高めてもらうのが狙い。
人口減が急速に進む中、「函館離れ」を食い止めることや、函館を一度出てもUターン転職などで帰郷した人材の定着率を向上させる狙いもある。執筆料や編集会議の経費として新年度予算案に事業費53万円を盛り込んだ。
資料のコンセプトは、函館のまちづくりに貢献してきた歴史上の人物30人程度を時系列に取り上げる。開港以降の近世(江戸・明治時代)から現代までの時代区分で、高田屋嘉兵衛やペリー、武田斐三郎、榎本武揚などを想定する。資料は、社会科の歴史学習とは異なる意味を持たせるため、副読本ではなく、朝学習の時間に1人1台端末で見ることができるようにする。
学芸員が中心となり、函館市史を基に分かりやすく編集し作成する。教職員や外部の協力を得ながら、人物を選定した上で2025年度内に執筆。26年度には市立中学校、義務教育学校計19校の全生徒に配布する。
市教委教育指導課は「おらがまちの歴史を自分の言葉で語れる人材や、地元を誇らしく思う若者が少しでも増える一助になってほしい」としている。(竹田 亘)