北海道大学(宝金清博総長)は29日、函館市港町3の函館キャンパスに新たに建設した複合施設「水産科学未来人材育成館」の完成披露式を開いた。博物館と図書館の機能を集約し、先進的なデジタル保管システムを備えたことが特徴。同大や函館市、漁業協同組合の関係者ら約80人が出席し、テープカットで新施設の完成を祝った。
同施設は、築50年を超えていた旧図書館と、築65年を超え老朽化していた旧水産科学館の機能をまとめ、交流と情報発信の環境を追加した。吹き抜け構造の3階建て、延べ床面積は約2600平方メートル。総工費は約11億円で、文科省の施設整備費補助金を活用し、2023年3月に着工した。
特徴は3階に常設展示室と、通常は非公開の収蔵室を収蔵展示の形式として整備。明治期に作られた和船の模型や漁具資料、貴重な研究・教育資料などを誰もが見学できる。また、図書館の所蔵収容冊数は1万冊増え14万冊になったほか、3Dスキャナーシステムなどを設け、図書・博物資料のデジタル化を進める。
式では、宝金総長が「水産科学のランドマーク的な図書資料を日本のみならず全世界に効果的に発信し、新しい成果を創り出す共創拠点〝イノベーション・コモンズ〟として機能させる」とした上で「豊富な水産資源と、優れた研究機関や関連産業が集まる地域づくりを目指す函館には特有のニーズがある」と力を込めた。(竹田 亘)