函館大学(野又淳司学長)と函館山ロープウェイ(浅井忠美社長)は10月31日、「数理・データサイエンス・AI教育における企業の実データ提供に関する協定」を締結した。同社が輸送人員数などのデータを無償で提供。大学側は、学生が商学的なアプローチでデータを分析、研究する。成果は同社をはじめ、地域に還元し、観光や経済振興につなげる考えだ。
協定は、国が進めるAI関連人材育成強化の流れに沿ったもの。同大が民間企業と協定を結び、データの提供を受けるのは初めて。
同大で開かれた締結式で野又学長は「データを統計的に処理するのではなく、深い洞察と理解を得ることが重要。学生には主体的に観光について学んでもらいたい」と語った。来年度、1年生の必修科目にデータを用いた授業を組み込むことを計画しているという。
また、観光分野だけでなく、医療・福祉、流通、水産などさまざまな業種の企業との協定締結や、ほかの高等教育機関との連携も視野に入れている。「将来的には地域の高等教育機関が企業のデータを集約するハブの役割を果たすことができれば」と展望を語った。
同社にとっても初の取り組みで、輸送人員数のほか、国別、団体の数などのデータも提供する。浅井社長は「社内でデータを分析しているが、学生や研究者の視点をもらいたい。残業時間の削減やメンテナンスはどの時期にするのが良いかなどのヒントになれば」と期待を寄せた。(松宮一郎)