函館から密出国して渡米後、京都に同志社大を創立した新島襄(1843~1890年)をしのぶセレモニー「碑前祭」が14日、函館市大町の「新島襄海外渡航の地」碑前であった。21歳の新島が国の将来を憂い、大海原を渡った熱い志を受け継ぐことを誓った。
学校法人同志社(八田英二総長・理事長)が主催し、函館市が後援。同志社校友会函館クラブ(藤島浩会長)の会員をはじめ、札幌や青森の卒業生ら約20人が参加。2020、21年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止し、昨年3年ぶりに復活した。
植木朝子学長は「大切にしなければならないのは建学の精神『良心教育』。学園が大きく発展しても新島の教えを今後も継承していきたい」と力を込めた。
市観光部の高井暁次長が「碑は地元住民や観光客に見守られ、今日に至っている。毎年、学生が函館を訪れる函館キャンプも開催しており、同志社との縁を大切に守っていきたい」とあいさつ。植木学長と高井次長が碑前に献花した。讃美歌やカレッジソングを歌い、母校に思いをはせた。
新島が脱国した1864(元治元)年6月14日(新暦7月17日)を記念し、碑は1954年に建立。函館クラブを中心に碑前祭を続けてきたが、10年から学校法人同志社が主催している。同志社は25年に創立150周年を迎え、今年は新島の生誕180年の節目にあたる。
同志社校友会北海道支部長の草野賀文さん(63)=1984年法学部卒=は「毎年札幌から3~4人で参加している。道支部として創立150周年に協力したい。道支部も25年に設立100周年を迎えるので、盛大に行事ができれば」と話していた。(山崎大和)