【松前】「『夫婦の手紙』第9回全国コンクール」(実行委主催)の公開発表会が3日、松前公園内の夫婦桜前広場で行われた。観客約100人が集まり、幾多の苦難を乗り越えた夫と妻からの手紙に涙を流して聞き入っていた。
コンクールは、園内の天神坂にある南殿(なでん)とソメイヨシノが根を共有しながら成長していることから命名された「夫婦桜」にちなみ毎年開催。国内外から600通の手紙が届き、4月中旬に町民約100人が審査した。
この日は、最高賞の最優秀賞と次点の優秀賞、佳作8点計10作品を公開。松前高校の菅野沙弥香さん(1年)、兼子奎君(3年)、澤田紗歩さん(3年)、白川里咲さん(3年)が登壇し、愛情あふれる作品を丁寧に朗読した。満開の夫婦桜が咲き誇る会場で、観客から惜しみない拍手が送られた。
最優秀賞に輝いた群馬県在住で契約職員の小幡由美子さん(58)の作品は、出産目前に顔面神経麻痺(まひ)を患った時にも懸命に支えてくれた夫へ宛てた感謝の手紙。当日は出席できなかったが「私たち夫婦にとって大きな喜びになった。特別な意味を持つ松前町をいつか訪れてみたい」とメッセージを寄せた。
また、優秀賞を受賞した横浜市在住で無職の茅根静代さん(72)の作品は、結婚生活48年で天国に旅立った夫に思い出を語りかける手紙。会場に来ていた茅根さんは「皆さんのお手紙を聞き、胸がいっぱいになりました。亡き夫がそばに来てくれている気がします」と話し、実行委から賞状を受け取った。(斎藤彩伽)