函館市松陰町のスペイン料理店「レストラン・バスク」のオーナーシェフ、深谷宏治さんの新著出版記念講演会が16日、函館蔦屋書店で開かれた。料理人を目指したきっかけや、レストラン開業からバル街、世界料理学会までの経緯について語った。
深谷さんは、料理人としてのこれまでの歩みを「料理人にできること 美食の聖地サンセバスチャンからの伝言」にまとめ、8月に柴田書店から出版した。
深谷さんは学生時代、環境問題や動植物の食物連鎖に関心を持ち、「食材をいかにおいしく食べるかを徹底的に考える仕事こそ、料理人」と考え、料理の道へと進んだ。
その後、本場の料理を学ぼうとスペインへ。「魚、肉の使える部位は無駄なく全部使うという心構えを学んだ」と振り返り、現在でも「店で出す野菜は自家栽培し、食材として使えない部分も、肥料として再利用している」と食材の循環へのこだわりを語った。
また、深谷さんは「スペインのシェフは町の料理のレベルを上げようと食材や調理法について常に情報交換をしていた」とし、その経験が函館でのバル街や世界料理学会開催に結び付いたエピソードを披露した。
また、今年バル街がサントリー地域文化賞を受賞したことに触れ、「バル街は全国に活動が広がっている。続けてきてやっと認められた」と笑顔で締めくくった。講演後にはサイン会も開かれた。(飯尾遼太)