NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(中村由紀夫理事長)の第32回公演「星の城、明日に輝け」が13日、当初予定より一日遅く初日を迎えた。この日もあいにくの雨となったが、来場した197人に「星の城」が見守ってきた函館の歴史を届けた。
国の特別史跡でもある五稜郭公園一の橋前広場を会場に、今年は戊辰戦争終結150周年記念と銘打つ。
物語は、アイヌ民族の伝承にある「コロポックル」が案内役を務める。高田屋嘉兵衛が「綱いらず」と言われた函館の港を称賛しながら「雨の中来てくれたお客さまは素晴らしい」と野外劇では珍しいアドリブも飛び出した。
前半の山場となる箱館戦争のシーンでは、新たに中島三郎助を登場人物に加えた。出陣を控えた土方歳三に中島が「どうしても行くのか、ならば止めはせん」などと声を掛け、弁士によって辞世の句も詠み上げられた。
明治以降も大火や第二次世界大戦と幾多の困難を乗り越える場面が続き、函館の未来へと物語をつなげるテーマソング「星のまちHakodate」の大合唱に合わせるように雨も上がった。
かっぱを来て観劇した函館北美原小2年の高野滉平君(7)は「五稜郭がどうやってできたのかが分かった。毎年見に来ていても楽しい」と喜んでいた。
公演は8月10日までの毎週金、土曜日(同2、3日を除く)に実施する。(今井正一)