函館市総合福祉センター内に開設されているNPO法人「函館視覚障害者図書館」(大浅昭夫理事長)が1日、設立50周年の節目を迎えた。点訳や音訳図書の作製や貸し出しなどを通じて、目の不自由な人たちの読書や情報入手のよりどころとなっている。活動を支えるのはボランティア団体のメンバーや視覚障害者。「利用者のニーズに応えていきたい」と、先人の志を守り伝えながら変わらぬ活動を続けていく。
活動に携わるのは「青い鳥朗読奉仕団」(黒丸義子代表)、「函館きつつき点訳奉仕団」(松尾悦子代表)、パソコン点訳グループ「アイネット」(中村良己代表)といったボランティア団体に、当事者らでつくる「函館視覚障害者福祉協議会」(島信一朗理事長)。
各団体が定期的に集まり、本の音訳・点訳や編集、校正などに取り組んでいる。
青い鳥朗読奉仕団の前代表で、40年以上にわたり音訳図書のボランティアに携わる森田直子館長は「困難はあるが、やりがいがある仕事。多くの人たちの善意と熱意がここまで支えた」と話す。
同館は1967年11月1日、函館点字図書館として開館。当時は道内3番目に開館した点字図書館だった。98年にはテープに収めていた音訳図書をCD録音とするデジタル化(デイジー図書)に着手し、99年から本格的に移行した。2009年にはNPO法人となり、「函館視覚障害者図書館」に改称。15年には認定NPOの資格も取得した。
所有図書は小説や雑誌、専門書、広報誌など多彩で、現在、録音図書テープ版約1万2000点、同デイジー版約6200点、点字図書7500点。図書の作製、貸し出しのほか、代読・代筆サービス、対面朗読、パソコン指導などのサービスも行う。
節目を祝うセレモニーなどは行わないが、記念誌「50年のあゆみ」を作製中。森田館長は「担い手の育成など課題と向き合いながら、視力を失っても必要な情報を入手できる環境づくりに貢献していきたい」と話す。(鈴木 潤)