認知症の方の一人暮らし
~リスクや対策・早期発見が重要~
高齢者世帯のうち単独世帯に当てはまる世帯数は、年々増加傾向にありますが、その中には認知症の方や認知症の疑いがある方の一人暮らし世帯も少なくありません。認知症の方の一人暮らしは、長期的に維持することは難しく、「必ず」と言っていいほどご家族や地域のサポート、介護保険サービスの利用などの介護が必要となります。認知症が進行した場合の一人暮らしのリスクは多く、火の消し忘れなどによる火災、外出時の迷子・事故、お金の管理や服薬管理などが困難になったり、排せつに失敗したままの状態でいる、食べることに意識が向かずに低栄養状態になるなどのセルフネグレクトの状態に陥ることもあります。
比較的手軽に行える早期の環境工夫として、ガスコンロを消し忘れ消火機能のついているものに替える、暖房をパネルヒーターやオイルヒーター、ファンヒーターに替えるなどは認知症の発症に限らず、高齢になったらぜひ行ってほしいと思います。
また、一人暮らしの高齢者が認知症を発症すると、ご本人が気付かないまま症状が進行してしまうことがあります。一人暮らしの親や親族に認知症の兆しを感じた時には、できるだけ早めに病院での診察を受け、家族や介護保険サービスによる支援を検討することが重要です。家族間で認知症について共有し、頼れる相談先や支援サービスを確認しておくと良いでしょう。
どのタイミングで一人暮らしが難しくなるかは、サポート体制やご本人の身体状況により異なり一概には言えませんが、先述したように認知症の方の一人暮らしには「必ず」介護が必要になります。要介護認定を受ければ専門家によるアドバイスや介護保険サービスを利用できるほか、早期の適切な治療によっては発症・進行を遅らせることも可能なので早期発見が重要です。
親や親族への連絡を増やしてみる、近隣に一人暮らしの高齢者がいたら変わったことがないか少し気にかけてみるなど、ひとごとではなく、ご自身の安全のためにも意識を持ってみてはいかがでしょうか。
(ハコラク 2025年5月号掲載)