徳川幕府とも縁深く貴重な資料も数多く所蔵
函館市内で2番目に古い寺「称名寺」は1644年、伊勢(現・三重県)から来道した圓龍上人が、亀田村(現・函館市八幡町付近)に庵を建立して携えてきた阿弥陀如来像を祭ったのが始まり。亀田川の頻発する氾濫を受け、1708年に箱館(現・弥生町付近)へ移転。箱館奉行交代の際には仮本陣に、箱館開港当初はイギリスやフランスの領事館として利用され、箱館戦争時には新撰組副長・土方歳三の市中取締役就任に伴い箱館警備の任に就いた「新撰組屯所」が置かれるなど、函館の歴史に大きく関わってきた。寺内に北海道最初の中学校である官立変則中学校、商船学校が設けられるなど賑わいを見せていたが、1879年の大火で本尊、石仏、墓石以外ほぼ焼失。その後の区画整理で現在の場所へ移るも2度の大火に巻き込まれ、大本堂が焼け落ちた。
現在の本堂は度重なる大火から教訓を得て、1929年に再建された鉄筋コンクリート建築。境内には初代箱館館主・河野加賀守政通、土方歳三ら新撰組隊士の供養碑や高田屋嘉兵衛など多くの著名人の墓があり、参拝者が花を手向けに絶えず足を運んでいるという。また、寺院内には宝物室もあり、道指定有形文化財「貞治の碑」など貴重な品々を展示している。
(ハコラク 2022年 4月号掲載)
浄土宗 護念山 摂取院 称名寺
函館市船見町18‐14
☎0138‐23‐0574
寺務所8:00~17:00
(冬期間は16:30まで)
無休 P有り