歌い継がれる郷土芸能と
道内最古の絢爛な祭が文化と伝統を伝えていく
江戸から明治時代にかけ、ニシン漁と北前船の交易で〝江差の五月は江戸にもない〟と謳われるほど繁栄し、2017年に町の文化と伝統を語るストーリーが「日本遺産」に認定された江差町。「江差追分会館・江差山車会館」では、町の宝である民謡「江差追分」と道内最古の祭り「姥神大神宮渡御祭」を中心に、地域の多様な郷土芸能を実演や指導、映像資料を交えて伝承している。 追分節の起源は信州中仙道で歌われた馬子唄と言われ、北前船の船頭によりこの地に運ばれ「江差追分」として独自の発展を遂げた。館内にある「伝習演示室」の舞台では、地元の師匠や江差追分全国大会優勝者が交代で実演を行い、室内に響き渡る哀愁漂う声音や、一節声を切らさず朗々と歌う独特の節回しで、聴く者の心を揺さぶっている。また、「江差山車会館」のエリアでは、「姥神大神宮渡御祭」で町内を練り歩く13台の山車の内、2台を1年交代で展示。この祭で曳き山車を〝やま〟と呼ぶ理由は、京都祇園祭の系統を引き、青木や船の帆柱を依代として神が降臨する神域という意味が込められているためで、山車には一台一台にさまざまな地域の豪華絢爛な趣向が凝らされている。高さ5mを超える圧巻の威容には、380有余年祭りを守り続けた町民の愛情が詰まっている。
(ハコラク 2021年7月号掲載)
江差追分会館・江差山車会館
江差町中歌町193‐3
☎0139‐52‐0920
9:00~17:00
休館日/ 4~10月無休
11~3月月曜
祝日の翌日、 年末年始
入館料/大人500円
小・中・高校生250円
(江差町民は無料)
P有り