かつては規格外にされたほど大きなシイタケ
地元の人や料理人たちに愛されるブランド品に
肉厚で大きく、濃厚な旨味と豊潤な香りを蓄えた「王様しいたけ」は、「福田農園」が通年生産、販売するブランド商品。横津岳の天然伏流水を使い、専用ハウス内をシイタケの生理生態に合う自然の森に近づけて環境を整え、シイタケに疑似的な四季を感じさせながら栽培している。ダシが染み出る汁物や鍋はもちろん、素焼き、ソテー、天ぷら、フライなど大きいものは大味との先入観を覆し料理の主役としても堂々たる存在感を示す。
「福田農園」の前身は函館市内でヒラタケなどのキノコ栽培を手掛けていた「桔梗農園」。国の減反政策を受け休眠させていた水田予定地だった現在の場所が、ミネラル豊富な天然水が湧くキノコ栽培に適した土地であることが判明し、18年ほど前に栽培所を移転、シイタケ栽培を本格化させた。他商品との差別化を図り、研究を繰り返していたところ「味も香りもそのままで、大きく育つものが出てきた」のだと福田将仁社長。市場では大きすぎて規格外として扱われてきたが、2009年、九州で行われた品評会で日本一に輝いてから風向きが変わった。渡島総合振興局の積極的な後押しを受け、一般の人や道南の料理人に食味の良さを確認してもらうことで知名度を高めブランド化に成功。その後、本社も栽培所のある現在の場所に移しその豊富な収穫量をフル活用しようと商品加工にも積極的に取り組んできた。「干しの王様しいたけ」の商品化に向けては「従来の干しシイタケとはまた違う特徴を引き出したい」と北海道立工業技術センターへ協力を仰ぎ、2年掛かりで算出した細かなデータを得て、香りや旨味を引き出す生産工程を確立した。今年4月には海外への販路拡大を視野に、生シイタケと乾燥シイタケの両方で、シイタケ栽培で道内唯一とみられる有機JAS認証を取得。常に先を見据えた戦略を練り、さらなる飛躍を目指している。
(ハコラク 2020年9月号掲載)
有限会社 福田農園
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