伝染病の国内侵入を防いできた
窓からの眺望が美しい初期港湾施設
外国人墓地の程近くに立つ「ティーショップ夕日」は、落ち着いたピンク色の壁に濃いえんじ色の屋根が目印。歴史を感じる店で味わえるのは全国から取り寄せた日本茶で、船舶が行き交う函館湾を見ながらゆったりとした時間を楽しめる。平屋建て木造洋風建築の建物は、1885年、国際貿易港だった函館の防疫体制の強化を図り建築された「函館検疫所台町措置場」の元事務所。太平洋戦争中には捕虜収容所となった負の歴史を持つが、戦後は引揚者の検疫にあたり治療に貢献。防疫機能が1968年に港湾合同庁舎(海岸町)に移転された後も受付窓口などとして91年頃まで活用され、現在は函館市が所有している。海側の正面玄関や規則正しく並ぶ額縁窓、店内に掲げられた「函館検疫所」の扁額、歪みのあるガラス窓、当時の木材を磨き上げ張り直した廊下…。補修・再生された部分に、かつての面影を色濃く残し、全国でも数少ない初期港湾施設の姿を今に伝えている。
(ハコラク 2020年7月号掲載)
日本茶カフェ ティーショップ 夕日
函館市船見町25‐18
☎0138‐85‐8824
10:00~日没
木、第2・4水曜定休
(冬期休業有り)
禁煙 P有り
キャッシュレス決済利用可