幕末の志士たちの足跡と
海洋伝説が残されたいにしえの街並みを辿る
「江差の五月は江戸にもない‐ニシンの繁栄が息づく町‐」というタイトルのストーリーが北海道初の日本遺産に認定された江差町。毎年巨大なしめ縄を掛け代え海上安全や大漁を祈願する「瓶子岩」や、ニシンやヒノキ材の交易で繁栄した時代の街並みを再現する「いにしえ街道」は、北前船の往来と共に発展した町の歩みを今に伝えている。「瓶子岩」の起源とされる瓶を海に投げ入れた折居姥が祀られ、ニシン漁の守り神として親しまれる「姥神大神宮」は、道内最古の神社の一つと言われる。毎年8月に開催される「江差・姥神大神宮渡御祭」では町が熱気に包まれる。
かもめ島の入り口に復元された「開陽丸」は、江差沖に沈んだ幕末の軍艦。記念館として開放する内部では、海底から引き揚げられた遺物の展示や船内生活の体験が楽しめる。「開陽丸」の沈没を嘆き、土方歳三がこぶしを叩きつけたと言われる松の木の前に立つ「旧檜山爾志郡役所」は、道内に唯一現存する群役所庁舎。江差町郷土資料館として活用される館内は、華麗に再現された壁や天井の布クロスが創建時の雰囲気を思わせる。
庭園部分が「えぞだて公園」として整備された「旧関川家別荘」は、江戸末期からさまざまな商いを営み、江差屈指とうたわれた豪商が建てた別荘。当時の古文書や調度品も保存され、かつての栄華を垣間見られる。
(ハコラク 2020年5月号掲載)
【瓶子岩】
江差町鴎島
【いにしえ街道】
江差町中歌・姥神町一帯の旧国道沿い
問い合わせ/江差町役場追分観光課観光係
☎0139‐52‐6716
【旧関川家別荘】
江差町豊川町55
☎0139‐52‐4220
9:00~17:00
4~10月無休(11~3月は休館)
入館料/大人100円、小・中・高校生50円
【旧檜山爾志郡役所】
江差町中歌町112
☎0139‐54‐2188
9:00~17:00
4~10月無休
(11~3月は月曜と祝日の翌日定休、年末年始休館)
入館料/大人300円、小・中・高校生100円
【開陽丸記念館】
江差町姥神町1‐10
☎0139‐52‐5522
9:00~17:00(発券は16:30まで)
4~10月無休(11~3月は月曜・祝日の翌日定休)
年末年始は休館
入館料/大人500円、小・中・高校生250円
P有り
【姥神大神宮】
江差町姥神町99
☎0139‐52‐1900