自然を利用した採石場
名寺や本格的な風景式庭園が点在
函館市内から恵山地区日浦町へ向かう道道41号線。海岸線沿いの細い道路を走り、手掘りトンネル「日浦洞門」をいくつか抜けた先に見えてくる、特徴的な断崖絶壁「道南金剛」。1984年頃まで採石場として使われており、市指定文化財、名勝にも選ばれている。荒々しい波しぶきと巨大な絶壁、屈曲する海岸沿いに柱状節理と呼ばれる柱状の均等な割れ目が連なる岩肌、自然が生み出す圧倒的な迫力や美しさに息をのむ。
見晴公園内にある旧岩船氏庭園「香雪園」は明治時代に造成された本格的な風景式庭園。名勝に指定された道内唯一の国指定文化財庭園で、1927年に無料開放され地域における景勝地となっていたという。北辺中央部の高台に設けられた書院風の園亭をはじめ灯籠を配した純和風庭園区、レンガ造りの温室がある西洋風造園区、どちらも魅力にあふれている。
浄土宗「称名寺」は1644年に八幡町付近に建立。1881年に現在の場所へ移転する前は弥生町付近にあり、幕末には箱館警備の任に就いた「新選組 屯所」が置かれるなど、函館の歴史に大きく関わってきた。大本堂は大火で2度焼失した教訓を経て、火災に強い鉄筋コンクリート造りになっている。
曹洞宗「高龍寺」は1633年に亀田村と呼ばれていた地域に創建された函館市内最古の寺院で今の本堂は1900年に再建された。総ケヤキ造りの本堂ほか境内の建物は国の登録有形文化財。龍や獅子など随所に施された見事な彫刻が当時の芸術や建築様式を今に伝えている。
さまざまな船舶が行き交う函館湾を一望できる「外国人墓地」。ペリー来航時に亡くなった水兵を弔ったことが始まりで、異国の地で眠りについた死者を守るかのように、波音だけが静かに響く。夕暮れ時は辺り一帯が茜色に染まる夕日の名所でもある。
(ハコラク 2020年5月号掲載)
【香雪園】(見晴公園内)
函館市見晴町56
☎0138‐57‐7210
函館市住宅都市施設公社
公園管理部東部公園事務所
(見晴公園緑のセンター内)
【称名寺】
函館市船見町18‐14
☎0138‐23‐0574
拝観時間9:00~16:00
※宝物室内は寺務所に声を
掛ければ無料で見学可能
無休 P有り
【高龍寺】
函館市船見町21‐11
☎0138‐23‐0631
開門時間9:00~16:00
無休(法要のある時は 拝観できないことも有り)
P有り
【外国人墓地】
函館市船見町23
問い合わせ/函館市観光案内所
☎0138‐23‐5440