町を代々支えた豪商の暮らしぶりに
時代の隆盛を知る
いにしえ街道から車で約3分、豊部内川沿いの閑静な場所にある「旧関川家別荘」は、松前藩随一の豪商・関川家が、江戸時代末から明治時代の初め頃に建てた別荘。越後国(現在の新潟県)から江差に渡り、廻船問屋をはじめ金融業や醸造業などを多角経営していた関川家は、200余年に渡りこの地に居住した在郷商人の第一人者として、代々地域の発展に尽力。2階建の土蔵には、北前船「利寶丸」の船名額や魚箱、繊細な装飾が施された漆器、ガラス製のコップなど、関川家に残された貴重な調度品が展示され、栄華を極めた江差最盛期の暮らしを垣間見られる。
別荘を建てた8代目・関川平四郎は、俳人として活躍した一面があり、風雅の道を求めた名残を現在の母屋の佇まいにも感じさせる。歪みのあるガラス窓から見える1万㎡を超える広大で美しい庭園は、「えぞだて公園」として整備され、町民の憩いの場に。「旧中村家住宅」「江差町郷土資料館」と3施設共通入館券(大人500円、小・中・高校生150円)もあるので、じっくり歴史散策を楽しみたい。
(ハコラク 2024年9月号掲載)
旧関川家別荘
江差町豊川町55
☎0139‐52‐4220
9:00~17:00
無休(11~3月は休館)
P有り
入館料/大人100円、 小・中・高校生50円