繁栄を極めた商家
1971年に国の重要文化財に指定された「旧中村家住宅」は、町の繁栄を支えた廻船問屋を営む近江商人・大橋宇兵衛が建造したもの。大正初期に大橋家から同郷の中村家に譲渡され、74年、江差町へ寄贈された。建物は北陸から北前船で運んだ笏谷石を積み上げ土台にした、総ヒノキアスナロの切妻造り。街道に面した母屋から海側へ向かって文庫倉、下の倉、ハネダシまで続く通り庭様式を採用した、代表的な江差の商家建築の造りになっている。母屋は入って右側の長い土間を通路とし、帳場、商談に使われた2階へ続く金庫裏の隠し階段がある店舗や、座敷、居間、女中部屋といった居室で構成。また、下の倉やハネダシに、日本海交易についてのパネルや、明治期の街の様子をとらえた写真、北前船船主の直筆の書類、実際に使用されていた漁具など貴重な資料を展示しており、交易で活況だった当時の様子をうかがい知れる。
(ハコラク 2024年9月号掲載)
旧中村家住宅
江差町中歌町22
☎0139‐52‐1617
9:00~17:00
無休(11~3月は月曜・祝日の 翌日・12月31日~1月5日休館)
入館料/大人300円、
小・中・高校生100円