【上ノ国】町中須田の道道5号江差木古内線南側に広がる京谷作右衛門さん(77)方の田んぼで、稲ワラの束を円錐形に積み上げ乾燥させる稲積(にお)が、先月下旬からお目見えし、昔ながらの水田の風物詩がみられた。今年は、昨年より20基減らした約65基が並んだ。17日から脱穀作業を始めるという。
稲積でじっくりと天日乾燥させたコメは、冷めてもおいしさが長持ちするといい、昨年度の町のふるさと納税返礼品にも採用されている。京谷さんは、「自然乾燥米」求める消費者の声に答えることに加え、飼育する16頭の馬の飼料の一部としての利用や馬のお産の際に使用する汚れのない敷きワラ確保のため、毎年稲積を作成している。
京谷さんは、穂のついたまま束ねたワラを、予め三角錐(すい)形状に組んだ3本の支柱に、穂が内側になるようにワラをはさみ込みながら、高さ約2メートルまで積み上げる。スズメの食害を防ぐため網をかけ、頂上部分はブルーシートを被せている。
京谷さんは「馬の飼料にワラを使い、馬ふん堆肥で化学肥料を低減する循環型農業を目指している」と話し、近隣ではめっきり減った稲積文化を、来年以降も続けていくという。(入江智一)