函館市弁天町15にある国の指定重要文化財(重文)「太刀川(たちかわ)家住宅店舗」と隣接する市景観形成指定建築物「太刀川家洋館」が、バンケットルームとゲストハウスとして貸し出しを始めた。所有する太刀川家は「明治・大正期の貴重な建築物や文化を、これからの西部地区活性化の拠点として役立てたい」としている。
太刀川家は江戸末期から米穀業や漁業などを営んだ商家。二代目善吉は銀行や新聞社などの重役を務め、函館経済界の重鎮として活躍した。
住宅店舗は一代で財を成した初代善吉が1901(明治34)年に建築。71年に建築物として市内で初の重文に指定。2009年からカフェとして営業したが、文化財保全工事のため、昨年10月に閉店した。
レンガ造り2階建ての1階部分は、パーティーや会議、撮影など多くの用途で貸し出す。カツラやヒノキなど太い柱や梁が配置され、当時の繁栄を物語る。
また、隣接する緑色の洋館は1915(大正4)年に増築。取引相手と商談する応接室として用いられた。ギリシャ建築を思わせるアーチ状の玄関をくぐると、1階に客間、リビングとキッチン、2階にベッドルームと洋風のバスルームがある。これまで一般公開をせず、家族のゲストハウスとして利用したままを一般にも貸し出す。
所有する太刀川家の7代目・善さんが代表を務めるゼンアンドサンズ(東京都港区)が運営。善さんの母で、取締役の雅子さんは「カフェを閉めてからも立ち寄るお客さんが後を絶たない。新しい文化が生まれる場として広く活用してもらえれば」と話している。
利用料はバンケットルームが2時間2万5000円(税別)から。1棟貸しのゲストハウスは最大3人程度の宿泊が可能で、1日6万円(同)。問い合わせは受付担当(0138・22・0340)へ。ホームページ(http://tachikawafamilyhouse.com/)を24日に開設する。(深津慶太)