函館交通圏(南茅部地区以外の函館市、北斗市、七飯町)を除く渡島・桧山管内のタクシー会社9社が、北海道運輸局に運賃の引き上げを申請した。各社が申請した運賃の上限は600円~680円。認可されれば、消費税の改定時を除き1997年以来21年ぶりの値上げとなる。同地区の事業者は利用減などで厳しい経営を強いられており、各社が申請に踏み切ったとみられる。
タクシー運賃は、運輸局が地区ごとに公示する運賃幅の中で事業者が決める。現在、同地区の小型初乗り運賃は510円~550円で、ほとんどの事業者が上限の550円に設定。
運輸局は、事業者が運賃引き上げを申請した場合、最初の申請から3カ月の間に、地区の全営業台数の7割を超える申請があれば運賃改定の審査に入る。函館運輸支局によると、昨年12月に森ハイヤー(森)が最初に申請し、2月末までに9社の76台(申請率78・4%)となった。
今後、道運輸局が複数の事業者の原価を計算し、適正と判断した運賃を8月末までに公示する。その後、各社は新たな運賃を申請し、早ければ10月にも値上げが実施される見通し。
函館地区ハイヤー協会によると、2017年の同地区の年間運送収入は約3憶5600万円で、前回改定年の1997年の約6憶3900万円からほぼ半減。ある同地区の事業者は「利用が減る一方で、人件費などの経費は上がり、厳しい経営状況が続いている。20年以上も値上げせずにしのいできたが、利用者に負担をお願いするしかなくなった」と理解を求めている。(金子真人)