新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食需要が激減し、道南の生産者がつくった食材の出荷先がなくなっている中、函館市内の飲食店などが地場産品を使った新たなメニューを考案するなど、消費拡大を図る動きが出てきた。
五稜郭町の和食店「炭火割烹 菊川」(菊池隆大料理長)は18日から、道南の野菜や旬の魚を盛り込んだ持ち帰り専用の「一次産業応援弁当」(1000円)の販売を始めた。
買い手がなくなった食材を直接生産者らから仕入れているため、その日によって内容が変わるが、近海のソイやカジカなどの旬の魚をメインに、小野養鶏場(七飯町)の卵、高坂農園(北斗市)のキャベツ、明井農園(森町)のカボチャなどのブランド野菜を使った約10品を盛り込む。
前日までの注文が必要(数が多い場合は3日前まで)、申し込みは同店(0138・55・1001)へ。菊池料理長は「生産者と飲食店が苦境をともに乗り越えようという思いで考案した。規格外の食材を使うことで調理には手間がかかるが、おいしさは全く変わらず、価格を抑えて提供できるので多くの人に食べてもらいたい」と呼び掛ける。
元町の結婚式場「センティール・ラ・セゾン函館山」(伊藤峻一支配人)は昨年12月から、七飯町鳴川の「みやご果樹園」(宮後英子代表)のリンゴを使ったポタージュを式のコースメニューで提供している。
同式場は飲食店の休業などで需要が落ち込んでいる地元産品の活用を進める中、同果樹園の晩成種リンゴ「王林」に着目。火を通し、道産の牛乳やジャガイモと一緒にミキサーにかけて仕上げる。
同式場の深江祐哉料理長は「王林はくせがなく、デザート以外の料理にも非常に使いやすい。ブライダル業界も厳しい状況ではあるが、これからも地元の生産者と一緒に頑張っていきたい」と意気込む。
宮後代表はメニュー表にも同果樹園の名前が表記されていることに触れ「七飯のリンゴをPRしていただき、非常にありがたい」と話している。(金子真人)