函館市内の企業などが連携し、未利用魚の活用に取り組む「未利用魚介プロジェクト」は、道産のサンマやホッケなど定番の魚を函館産マコンブだしに漬け込み焼いたレトルト商品の新ブランド「本日の焼さかな」を立ち上げた。今後認知度が増えたり、おいしさが浸透したりした未利用魚は「利用魚」として同ブランドに格上げし販売する。お披露目の機会として24日まで丸井今井函館店(本町)地階不二屋本店の特設ブースに出店している。
プロジェクトは地元素材を使った商品を企画する合同会社EGAO(桔梗3)のプロデューサー、川崎良平さん(43)が中心となり、サイズが規格外で捕れても廃棄されてしまう函館近海のサバやタナゴを焼き魚として販売し、漁師の支援につなげようと昨年6月に発足した。
始動からの1年で同プロジェクトではサバ約900キロを商品化。タナゴは安価ながらタイに似た上品な味わいと淡白で優しい食べ口が好評でリピーターも多いという。また、4、5月ごろには以前より大ぶりの魚体が捕れており、一層の消費促進につながるとみて、未利用魚から利用魚への“昇格”を検討。新ブランドの立ち上げに踏み切った。
「本日の焼さかな」は格上げしたサバ、タナゴに加え、市民の食卓になじみ深い道産のサンマ、ホッケ、イワシの5種類を用意。味付けはEGAOが開発した函館産マコンブのだし調味料「極UMAMI美人」のみだが、今回からだしで漬け込んだ後、一夜干しする製法に変更。これにより、余分な水分がなくなり、よりうまみが凝縮するという。さらにレトルト商品のため、製造から半年間の常温保存が可能で災害時に備えた保存食としても活用できる。
丸井今井函館店への出店では「本日の焼さかな」をはじめ、未利用魚介プロジェクトの商品など13種類を販売。川崎さんは「海洋環境の変化で捕れる魚種も変わる中、今ある資源をどう生かし、状況をプラスに変えるかを考えた取り組み。今後もラインナップを増やし、未利用資源の有効活用、消費拡大につなげていきたい」と話している。
営業時間は午前10時~午後6時半。今月の金、土、日曜は午後7時まで延長する。(飯尾遼太)