函館商工会議所(久保俊幸会頭)と国際人財開発機構(半田善三理事長)は23日、外国人留学生受け入れ協定の調印を結んだ。同会議所は今後、函館地域留学センター機構(仮称)を設立し、外国人留学生の受け入れや生活を支援することで、優秀なグローバル人材を函館に集め、根付かせたい考えだ。
同機構と地方の経済団体が協定を結ぶのは初めて。調印式には同会議所の境勝則副会頭と半田理事長が出席し、調印書を交わした。
同センター機構の取り組みとして、現段階でプログラム案としながら、奨学金貸付制度や学生寮など住居の支援、同会議所の会員企業へアルバイトのあっせんや卒業後の就職支援、留学生の生活全般の相談対応などを想定。奨学金貸付では函館へ就職した際、返還義務の免除なども検討しているという。
同センター機構の具体的な構成団体はまだ決まっておらず、境副会頭は「会議所を主体とし、函館市や趣旨に賛同いただける市内の大学などで構成していきたい」と説明。今後は自治体への協力要請や、高等教育機関などに参加を呼びかけるとともに、同機構が海外に持つ幅広いネットワークや提携先を生かして、アジアなどで留学生の募集を行っていく方針だ。
5月をめどに学生の留学ブログラムを募集し、各校での入学選考を経て来年3月末からの支援を目指す。同会議所はスタート時点で、40~50人程度の留学生を見込んでいる。留学生の対象は市内の大学や短大、高専など。同センター機構の設置場所や費用負担などは今後協議を進めていくとしている。
台湾などからの観光客が訪れる函館では、外国語が堪能な人材の確保が課題となっている。こうした背景の中で外国人留学生を受け入れ、日本語学習を支援しながら卒業後の採用に結びつけることで、会員企業が抱える課題の解決を図っていくのが狙いだ。境副会頭は「函館で日本語を学ぶ留学生たちにSNSなどで函館の魅力を発信してもらいながら、卒業後も函館で働いてもらい両国の架け橋となるような人材に育てていきたい」と期待感を示す。半田理事長は「留学生にとって函館地域留学センターが一つの核となり、函館での留学が皆さんの心の財産のような制度になれば」と話している。(野口賢清)