旧・棒二森屋アネックス(函館市若松町)の建物を活用したテナントビル「函館駅前ビル」に20日、飲食店や衣料品店などの14店が開業した。8日に先行オープンした店舗や公共施設を合わせると19テナントとなり、棒二森屋閉店後の駅前地区の空洞化抑制に期待がかかる。
この日は、アネックスから継続の5店、本館からの移転の7店ほか、飲食店「ラップ&ロールカフェ」とパン店「キングベークナチュラル」の2店が1階に新規オープンした。
ラップ&ロールカフェは同ビルや本町で衣料品店や飲食店を展開する丸山商店(丸山英樹社長)が運営。店内に12席を設け、「原木」と呼ばれる骨付き生ハムを使ったサンドイッチやパンケーキなどを提供する。多言語表記のメニューも用意しており、丸山社長は「地元や観光の方々が気軽に立ち寄れる場所を提供していきたい」と語る。
キングベーク(坂本欣也社長)が運営するキングベークナチュラルは、約120種のパンを亀田本町の本店から1日3回程度運んで販売する。この日は大勢の客が訪れ、「五島軒のカレーパン」や「北洋堂のこしあんぱん」などの道南企業とコラボレーションした同店限定商品などを次々と買い求めていた。
同社の井上裕司・社長室長は「初日から多くのお客さまに来ていただいた。今後も道南の企業と連携した商品開発を進め、地元の名産物を発信する店にしたい」としている。
同ビルは、棒二森屋の閉店から後継施設の開業まで5年は掛かることから、駅前の空洞化を懸念する市などが棒二森屋を運営する中合(福島市)に営業の継続を求めていた。これを受け、中合などは3年程度、テナントビルとして営業する方針を示している。(金子真人)