2016年度に道南で発注された公共工事の請負金額は、前年度比3・0%増の693億4900万円だった。3年ぶりに前年を上回ったものの、過去10年では昨年に次ぐ低い水準にとどまり、建設業を取り巻く状況は依然として厳しい状態が続いている。
北海道建設業信用保証(札幌)が、工事の前払い金保証実績を基にまとめた。渡島は同2・6%増の519億6000万円、桧山は同1・8%増の173億8800万円。
工事目的別では「産業基盤」が同9・2%増の317億9600万円。北海道新幹線の札幌延伸工事が全体を押し上げた。「農林・水産」は同19・6%増の135億1900万円で、漁港整備分が増加。道路や学校、病院などの「生活基盤」は同10・2%減の146億7300万円だった。
道全体の請負金額は、同12・7%増の9523億4500万円。発注者別では国が20・6%増、道が23・9%増、市町村が2・2%増と、軒並み前年を上回った。
公共工事がやや上向いた一方、道南では今年1~4月で建設業の倒産が5件発生。昨年1年間の3件をすでに上回り、業界の苦境が鮮明になっている。函館建設業協会の菅原徹副会長は「補正予算の成立で少しは工事が増えたが、大手との競争で地元企業の恩恵は少ない」と話す。
今後は、函館新外環状道路の建設や若松埠頭(ふとう)の整備などの大型事業が予定されている。同社は「昨年見舞われた台風被害の復旧工事がある道東などと比べると、道南は新幹線工事がピークを過ぎてプラス材料は少ない。本年度も公共工事は微増にとどまる」とみている。(山田大輔)