函館ラグビーにおいて先駆的な役割を果たした日魯漁業(現マルハニチロ)のラグビーチームが今年、創設90周年を迎えた。6月4日に函館根崎ラグビー場で、同チームOBと函館ひやみず倶楽部との記念試合が開催される。
函館でラグビーが始まったのは1926(大正15)年。当時の日魯漁業函館支社長の故広瀬理喜男氏が社員に熱心に呼び掛け、日魯漁業ラグビー部が誕生した。ほぼ同時期に函館ラグビー協会が設立され、翌年に谷地頭の野球場で日魯と協会チームによる函館初のラグビーの試合が行われている。昭和に入ると日魯ラグビー部は北大を倒して全道制覇するなど、日本屈指の実業団チームとなった。
47年には日魯ラグビー部の故伊予田良一氏がコーチを務め、日魯社員の兄弟や子息が多く所属した函館市中(現・市立函館高校)ラグビー部が、国体と全国中学校ラグビー選手権の両方で優勝し全国制覇を達成するなど、函館ラグビーの黄金期の礎ともなった。
戦時中に選手や指導者らが応召されたことで函館での活動は沈滞し、ラグビーチームも本社のある東京に移転したが、現在の曙光クラブ(元マルハニチロラグビー部)に至るまで、伝統のラグビーチームとしての歴史は途絶えることなく受け継がれている。
記念試合はマルハニチロラグビー部のOBから「90周年の記念試合を、部が誕生した函館で開催したい」と函館のラグビー関係者に打診があり、地元側もこれを快諾した。当日は午後2時にキックオフする。マルハニチロラグビー部のOBらは約40人が来函する予定で、試合後には懇親会も行われる。
函館市ラグビーフットボール協会の日向稔会長は「日魯ラグビー部がなければ函館ラグビーはない」とし、「同年に誕生した協会も90周年という記念の年。こうしてチームのルーツである函館に、試合をしに来てくれることを大変うれしく思う」と話し、歓迎している。(大谷健人)