「2020函館マラソン」の実行委は28日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、7月5日に函館市で開催予定だった大会の中止を発表した。1991年に始まったハーフ、2016年からのフルともに中止は初めて。当初5月末までに開催可否を判断する予定だったが、全国に緊急事態宣言が出される中、5月末の収束は見込めないとして判断を前倒しした。
(稲船優香、小林省悟、山崎純一)
全国的にマラソン大会や夏のイベントの中止が相次いでいることから、実行委は28日、書面で総会を開催。委員23人全員が賛成し、中止を決定した。
今年は海外や全都道府県からエントリーがあり、フル4247人、ハーフ3503人の計7750人(定員8000人の約97%)が出場予定だった。
中止を受け、来年7月4日開催予定の2021大会の出走権を無料で付与する。2021大会への参加を辞退する人には参加記念品とオリジナルタオルを送付予定。手続きの詳細などは、今年9月にランナー全員に書面で案内する。
実行委事務局で函館市教委の田中博文フルマラソン担当課長は「希望を持っていたランナーには残念な決断だが、ご理解いただきたい。来年は2年分楽しんでほしい」とする。
大会長の工藤寿樹函館市長は「函館の魅力を存分に感じていただきたかったので残念。感染症が終息したら、多くの方に函館に来てもらえることを期待している」とコメントした。
実行委員長で、道南陸上競技協会の岡部壽一会長は「ハーフ30回、マラソン5回の節目の年で、多くの実業団や学生がエントリー予定していたので残念。コロナの感染拡大を考えるとやむを得ない。来年は開催できるように願っているし、五輪前なので良い大会にしたい」と語った。
ハーフ一般の部で初出場を予定していた人力車えびす屋函館店の関川元太副店長(36)は「沿道の声援や選手へのサポートが良く地域密着の大会と聞いていたので、初出場初優勝を目指していたが、中止は予想していた。日ごろの仕事がトレーニングなので来年を目指したい」と話していた。