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荒井三津子さん・暮らしのパレット/秋

 不自由なまま二年目の秋を迎えるとは誰が予想しただろうか。万策尽きて、世界中が疲れているようだ。仮にこの感染騒ぎが収まったとしても、次のウイルスや、今は想像すらしていない新しい「何か」の脅威が待っているかもしれない。祭りも恒例のイベントもなくなり、家族ですら大勢で集うなと言われるなら、どこにどんな楽しみを見つければよいのだろうか。不安と恐怖ばかりがつのる。
 そんな中、週末からは総裁選の話題でもちきりだが、私たちの暮らしは変わるのだろうか。重い気持ちで過ごしていたら、この季節の美しいお菓子をいただいた。そういえばこんなお茶の時間は久しく持てなかった。些細なお茶の時間さえ我慢するのはやはりおかしい。自分の暮らしは自分で守り、限られた条件の中で小さな楽しみを見つけるしかないようだ。
 先日、庭先でこおろぎが鳴いていることに気がついた。学生時代、こおろぎの研究をしていたので、鳴き方でこおろぎの種類が分かる。特技だと思っているが褒められたことは一度もない。近年、食糧として昆虫が注目されているが、こおろぎは大人気のようだ。少し複雑な気持ちである。毎年こおろぎの鳴き声が聞こえる頃、研究者を目指していた若い日を思い出す。
 良い思い出ばかではなく、夢は叶わなかった。それでも一心不乱に学んだ頃が懐かしい。不自由な日々はまだまだ続くが、味覚の秋、読書の秋、芸術の秋など、秋は豊かな季節である。丁寧に暮らしたいと切に思う。(生活デザイナー)

      暮らしのパレット











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