荒井三津子さん・暮らしのパレット/考える今
今年のゴールデンウイークも行動を自粛せよというお達しのようだ。1年前の大混乱、大困惑がこの春まで続くなど、誰が想像しただろうか。会いたい人には会えず、行きたい所にも行けない。
だが私は、関西方面の感染状況がこれほどひどくなる少し前、所用があって以前住んでいた広島に行った。懐かしい友人に久しぶりに会った時は、マスクのおかげで、増えたシワが隠せたのは幸いだった。彼女から受け取った大きなレモンとレモンクッキーの黄色はとてもまぶしく、長く忘れていた非日常の時間に感謝した。
マスクと言えば、昨年の春は入手が難しく、ドラッグストアに早朝から並んだり、ネットで必死に探したのは私だけではあるまい。今はマスクに飾りをつける人もいるし、マスクケースもいろいろ工夫されている。マスクが当たり前の生活になったのだ。この冬はインフルエンザの話題はほとんど聞かなかった。マスクと手洗いの徹底の結果だろう。
それにしてもなぜ、ワクチンはこれほど少ないのか、国産のものがないのか。同じ業種でも大幅赤字のところと、逆に売り上げをのばしているところがあるのはなぜか。なぜ小中学校は開講していたのに大学はリモート講義だったのか。いつから「三密」が声高に言われなくなったのか。分からないことだらけだ。どこに行くのも、誰に会うのも、自分で判断するしかない。あふれる情報を前に、今こそ考える力がほしい。そろそろ桜も咲く。(生活デザイナー)